10月になりました

もうれつに暑いとさわいでいた夏も朝晩はわりとすごしやすくなってきました。小出川ぞいに彼岸花が咲いて、夜は虫の音がにぎやか…どうやらセミの声はいつの間にか9月で終わったようです。

9月はお産の予約が14人あり、近年ではいつになく多かったので、産後ケアを少なめに調整したら、空き部屋の多い日が続きました。そしてお産も、初産7人のうち3人が病院搬送となり、結果10人のお産で終わりました。初産のうちに保育のスタッフの瀬戸さんの次女のリンちゃんがいました。臨月に入り、下の助産院の保育に参加して赤ちゃんを抱っこしたり、散歩したりしていました。予定日の日は日向薬師にお参りし山登りしました。「軽く5分ごとお腹が張っている」と帰りに駆け込んで、子宮口2指、そして0時をすぎるころ6cmで入院。2~3分おきの陣痛で順調に進み、朝4:30に3000g弱の女の子を産み上げました。「さすが19歳。若いってすごいね」とみんなで感心しました。10代のお産はだいたいスムーズな人が多いですが、まだ人間的に発展途上なので、周りの大人たちの見守りが大切です。本人がしっかりしていても夫君がなかなか父親になれなかったり、金銭的にも大変だったりします。その点、リンちゃんは安心です。リンちゃんが中学生の時、学校からの宿題でお仕事のインタビューをされたことがありました。「どうして助産婦さんになったのですか」「印象に残るお産ってありますか、どんなお産ですか」等いっぱい質問されました。あの時はリンちゃんは自分が赤ちゃんを産む日がこんなに早く来るとは思わなかったでしょうが、私たちの声かけをよく聞いてくれて、その通り、呼吸法をして乗り越えて、そばで付き添っていた瀬戸さんに私が「ママのお産は我慢して耐えている感じだったけど、リンさんは陣痛の波によく乗っていけたお産だったね」と言ったら、瀬戸さんもウンウンと頷いていました。今は退院して乳首の痛みと戦いながら頑張っています。

新聞で「手術をする時は麻酔を使うのに、陣痛の時は使わないのはナンセンスだ」という記事を読みました。陣痛の感じ方は人によって様々です。上手に乗り越えると、人生に深い味わいが加わるような気がします。赤ちゃんが生まれる体の感じの経験、時間を超えた、永遠とか瞬間とか、自分が自分でないような制御不能のエネルギーの感覚。私も側についていてママや赤ちゃんの状況を想像しながらケアしていく時間が本当に大好きです。すべてのお産の時間が愛おしいです。

(齋藤弓子)

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