おばあちゃんちみたいな居心地のよい雰囲気
私がここ齋藤助産院でお産がしたいと思ったのは、見学に来た時のこの飾らない理想のおばあちゃん家みたいな居心地のよい雰囲気がすごく気に入ったのと、2歳の息子がのびのび遊んでいる姿を見ていいなと思って決めました。
おかげで息子は赤ちゃんが来るという複雑な気持ちもありつつも、いつも「赤ちゃん先生の所に行く」と言って楽しく健診に通うことができました
妊娠中は、引っ越しもあったしすごくあっという間に過ぎて、でも臨月に入ってお産が近づいてきたらやっぱり一人目の時とは違ってマタニティースイミングも通えてなかったし、体操、ウォーキングいろんな準備がやっぱりできなかったので、今回のお産はどうなるかなーとか産後の生活はどういう風に変わっちゃうのかなーとかいろんなことが不安になってきて。でもある日健診で帰ろうとしたらいきなり齋藤先生が「勝つって信じた者が勝つのよ〜」みたいなことをおっしゃって。「あーなんかそうだな」、とそこで初めて「あとは信じてなるようになる!」と思うことが出来たの覚えています。
上の子が産まれた38週台。 今回はゴールデンウィークの後半で夫が仕事が忙しかったので gw明けに生まれてくれたらいいなぁなんて思いながら。とにかく上の子との思い出作りをしていました。お産の前の日も久しぶりに前住んでた家の近くの海に友達と行って。
たくさんたくさん遊んで。でもその時海に向かってはしゃいで走る息子を追いかけて走ったり、しゃがんで砂で山を作ったり。おんぶして息子を運んだりして、たくさん遊んで、家に帰った時に、何かおしるしの様なものがついてて。恥骨が痛いような押される感じが出てきて、「なんかスイッチ入った気がするな」と。「連休明けまでもつかなあ」と。
お産が近づいているような、なんかそんな気になりました。なので念のため入院準備を完璧に終わらせて、シャワー浴びて、海で遊んだ泥を流して。
そしたら今度は息子が熱を出して、熱性痙攣を起こして救急車で運ばれてしまって。そのまま私が付き添いで一泊入院することになってしまいました。いろんな手続きが終わったのが深夜だったし、うなされたり暴れたりする息子抑えて子供用のベッドで一緒に横になってて。 一睡もしないまま朝になって、付き添いの人は飲み物も食べ物も取れなかったので夕ご飯も朝ごはんも食べずに朝が来て。もう私はお腹の赤ちゃんの事もお産の事もすっかり頭から離れていました。
でも、朝9時ぐらいに担当のドクターが来て、「お母さん生まれちゃうかもしれないからもう今日退院でいいですよ」って言われた時に。あ〜そっか、うまれちゃうかもしれないんだった。と思って。そういえばなんかお通じがしたいような、お腹もちょっと張るような気もするかもなぁと初めてそこで気が付きました。とにかく退院の準備を進めて11時半ぐらいには退院することができて、自宅に向かっている車の中で痛みはないけどこの張りはなんか今までと違うし、お尻が押されるような感覚もあるし。
もうお産は近いかもしれないと思って。 ずっと立ち会って欲しいと思っていた親友に来てもらうことにしました。
ふきちゃんはもう私の朝の「張りが出てきたかなー」という連絡ですぐに向かってくれていて、同じぐらいの時間に自宅について。私は息子にとにかくうどんを食べさせたり。今後の生活の準備をしたりして。1時間近く家の中をバタバタと動いてたら、その間ずっとふきちゃんが「これはお産が始まってるって言えるんじゃないかなあと」とか「いつ? 助産院に行くかって言ったらそれは今でしょ」とか色々と言ってくれて私をせかしてくれて、おかげでパパッと準備を終えて12時半過ぎには家を出て助産院に向かうことができました。 着いたら大好きな先輩がたまたま勤務の日だったり、変わらない落ち着く景色があって。 一気に気が緩んで。
「とにかくお腹が空きました」と言って。早速、親子丼とかしわもちを食べさせてもらいました。助産院に向かうタクシーの中から感じていたんですが。これは不思議なんですけどなんだかもう絶対に今日。生まれるっていう確信のような気持ちが。空から湧いてくると言うか、一人目の時もそうだったんですけど、今日は誕生日になるな。よろしく!みたいな。 気持ちがふつふつと湧き上がっていました。なので食べ親子丼を食べながらもすでに感極まってなぜか涙が出てきてふきちゃんに笑われたり。 息子の退院のタイミングといい、今周りにいてくれる人たちとこの環境といい。もうお産をする前から「いいお産になった」って。そう思えるようなすごく感動的な気持ちでいました。
着いて30分後ぐらい1時半過ぎ頃に親子丼を食べ終わって。
「よっしゃエネルギー満タンや」と気合が入ってたんですけど。
どんどん陣痛が強くなってくると気持ち悪くなってきてしまって。食いしん坊でちょっと失敗したなと思って…でも吐くのはもったいないし。 気持ち悪いと思いながら陣痛と陣痛の間に親子丼と柏餅のことをずっと考えていました。
気づいたら、スタッフさんとふきちゃんだけじゃなくて。学生さんたちや齋藤先生もみんな腰を据えて私に付き合ってくれていて。お産に向けて皆一緒にいてくれる気持ちなんだなというのが伝わって。とても心強かったです。でも同時にこのまま生まれるのかなーとかたまに弱い陣痛が来ると は大丈夫かな。「みんないなくなくならないで〜」とかそんなこと考えていました。
でも心配をよそに。ちゃんと陣痛が強くなってくれて。私が自分が楽な姿勢が分からなくて色々と試行錯誤してると、みんなはそれを手伝ってくれて。いろんな姿勢を試そうとしてくれて。 トイレに行ってみたり。体起こしてみたり、みんなでサポートしてくれました。なんだかそのワイワイしてる時間がすごく楽しくて、陣痛と陣痛の間は楽しくて笑っちゃうぐらい。
なんかみんなで一緒にお祭りのような、同じ目標に向かって。一緒に向かってくれている、そういう心強い気持ちで興奮していました。最後にトイレに行って部屋に戻ろうとしたらパッと窓の向こうに山が見えて。
吸い寄せられるようにその窓に駆け寄って手をついたらサーっと外の風が入ってきて。景色と風で。心地よくて。「このまま立ってます」って私が言った途端破水しました。 そこから本当にあっというまでとにかくみんなの声を聞きながら必死で言われた通りにやろうと。夢中で足を動かしたりに息を吐いたり、おしりの角度を変えたり、やったつもりでしたが。痛みと興奮で耳と頭はすごくクリアなんですけど。 体は別にあるような、思い通りにならないような。 不思議な感覚でした。 気づいたら、仕事の合間の夫とテレビ電話をつなげてくれていて。 懐かしい顔が見えて「がんばれ!」といてくれる声も聞こえて。
心の中で。「見ててね、頑張るよ」と答えながら最後赤ちゃんが出てきて。抱っこした時は、嬉しくて嬉しくて最高の気持ちでした。
赤ちゃんはちっちゃくて可愛くてみんな 喜んでくれて、みんな笑顔で迎えられて。
こんな風に誕生できることはすごく幸せなことだし。私も赤ちゃんも、本当に幸せでありがたいなとすごく感動しました。
同時に、お産をやりきった自分に対しても、すごく誇らしいような、やったぞ!って言う。 満足感を感じていました。こんな風に思えるのも、皆さんが私を尊重して。大事に。一緒に。お産を進めてくれたからこそだと思うので、本当に感謝しています。
産後入院中はまた息子が痙攣で運ばれて入院になっちゃったことで、私は何もできずオロオロしたりめそめそしたりすることが多くなっちゃったんですけど。ここで皆さんに一緒に心配してもらったり、励ましてもらったり、休めるように気遣ってもらったりして。すごくしれに救われましたし、おいしい食事と、このサンルームから見える景色と風で。 体が確実に回復していくのを感じていました。
私にお産に関して思ったことは、女の人がお産の前後で3種類の顔が出てくるなと言うことで。
産前は一番通常の姿に近い通常モードの自分。お産の時は動物に近い出産モードの自分、
産後はホルモンで自分も自分でコントロールできなくなるようなすごい大きな波に引きずられるままに過ごす3番目の自分。
そういう3種類の自分を全部安心して見せられて。最後は少しずつ元の自分に帰っていくことができる、そのパワーをくれる、ここはそういう場所だなと振り返って思います
退院してからの生活は子供が二人になって。一人ですら、「もういっぱいいっぱい」って思って生きてたのにここからどうなるのか。
不安もたくさんあるけど、でもここに出産後入院していて、毎朝聞こえてくる子供達のふざけた声とか鳴き声とか。隣の部屋でおじちゃんがヒゲを剃ってる音とかみんなが声掛け合って助け合って毎日を送っている姿を間近で見てると、「みんな同じだな」ってそうやって助け合って毎日日が昇って日が沈んで、ご飯食べて。1日1日やっていけばいいだけなんだなんていうそういう気持ちにさせてもらえて、不安が少しずつなくなっていきました。
私はきっと自分が思う理想のお母さんには絶対なれないし。
これからもオロオロしたり、爆発したり後悔したり。きっとそういう繰り返しになっちゃうかもしれないけど。でも間違いなく、今新しい赤ちゃんが生まれてくれて。家族が増えたこと幸せだし、家族みんなで歩いて行ける未来が楽しみだし、どんな自分でもなんとかなる、なんとかできる、きっと大丈夫!そういう穏やかな気持ちで今はいます。
そんな気持ちをプレゼントしてくれたこの場所とここの皆さんには本当に感謝しています
本当にありがとうございました。