愛に溢れたお産

 

2022年12月1日命の日だそうです。LとHから愛娘Kにむけて

待ち望んだ妊娠と出産でした。

助産院でのお産は夫が激しく反対し、喧嘩になりました。

私は実家に帰ると啖呵を切りました。夫は医療行為がないことが心配だったのです。愛と愛の戦いでした。

最終的に産むのは私なのよ押し通しました。初めてのお産、わからないことしかない。私の母も祖母も安産、あっという間だった、産んだ実感なんてなかったそうです。私もそうなるだろう、産気づいて道中で生まれてしまうだろうという心配がありました。夫はそれを心配していたのです。

しかし、現実はそうはいきませんでした。前駆陣痛で1週間ほど体調が悪く、夫は忙しく家にいない日々でした。どうしても夫に立ち会ってほしくて、お腹にむかって「まだだよ、まだだよ」と語りかけていました。「お父さんがいるときにしか出てこないもんね、3500超えないとでてこないもんね」と語りかけていました。そしてようやく数日間は家にいられるという日のこと、これはいよいよ怪しいぞ、早めにいこう。車の中で産んだら夫を困らせる、早めにいこう。夫と私は夜中に車に乗りました。

遥か昔、18か19歳の頃に夢の中で自分の車ではない、同じ色の車の助手席に乗っている夢をみました。私は妊婦でした。その時に運転していた人がその時は誰だかわからなかったけど、帽子を被っていたことだけは覚えています。その日も夫は私が選んであげた帽子をかぶっていました。

お産の痛みは未知数です。痛いのには意味がある、だけどあんなに時間がかかるいいぞ」と、その一言で私は悟りました。

お腹の子はこの人の子だ。

私がどんなに頑張って念じても気が向かないと出てこない。

時間がかかっていたものの順調に進んでいたのに3歩進んで2歩下がってしまった。私は夫を恨みたくなった。

そんなことをしても仕方がない、選んでこの人の子が欲しいと思ったのは私。やるしかない。

結局苦しむ私の横で、むしゃむしゃと私のために用意された夕飯、朝ごはん、お昼ご飯を美味しそうに食べていました。それでも何か食べて飲んだほうがいいと言われ、準備していたゴディバのクッキーを食べました。飲み物は?ミルクティーは?とどこからか声がしました。「飲む!」お産はゴディバのクッキーとミルクティーを嗜みながら進みました。

最後のいきむ段階で、夫に抱えられ助産師2人の方を借りて、さらに二人が足を持ち上げ、そして一人が出てくるのを助ける壮絶なものでした。大好きな夫が背中にいる、目の前に亡くなった祖母が浮かびました。あれ?と思うと写真でしかみたことがない夫の祖父が見えました。さらに沢山の人々がご先祖様たちです。みんながついている、そう思った途端現実世界に引き戻されました。その耳に沢山の人の声援が聞こえてきました。その声援に励まされて、最後まで頑張れました。見渡してみると総勢9人の人がいて、私のお産は完了しました。助産師を志す学生さんもいらしたようです。

こんなに素晴らしい体験はほかにはありません。愛に溢れ、幸せに満ちたお産でした。出てきた子を抱いた時、目が合いました。少ししぼんだお腹の上で不思議そうにこちらを見上げている。

夫の子が欲しいと思って早7年。私の夢は叶ったのです。

夫に臍の尾を切ってもらい、私の理想のお産は全て叶ったのです。お腹の中で子供はよく聞いています。

ご先祖様がみんなついています。助産師さんもついてくれています。愛が溢れ、優しい体験です。

どうかあなたにもこの愛が伝わりますように。

 

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