8月のホルモン

今年の夏は格別の暑さだが、私はあまり暑さを意識しなかった。というのも体調が悪かった。そして今も悪い。突然、手や足が腫れ、キッチン仕事や歩行がしんどかった。このまま仕事ができなくなり、人に迷惑を掛けるようになったらどうしようという不安から、余計にあちこちおかしくなりそうだった。でも検査結果で「痛風」ではないかということになり、ロキソニンを飲んで、水分をいっぱい摂るという方法で乗り越えられそうだということが分かり、少し明るい気持ちになった。残り少ない人生を生活のクオリティを下げず、今日やれたことを明日もやれたら嬉しい。

今は入院さんは1人。初産の4日目の人である。昼日中は産後ケアの人や外来もあって、いつも通り賑やかだが、夜中は秋の虫の声が外から聞こえ、助産院の中は静かである。赤ちゃんも良く寝ている。ママはお産の直後、39度の熱だったが、すぐに下がり、今は頻尿多尿で、水もすごく飲む。1日の体調の変化もすごい。「元気だな」と思っていると数時間後にはグッタリ、フラフラしている。「大丈夫かな」と思っていると、少し寝た後、「すっきりです」と爽やかな顔を見せる。食欲はあり、ゆっくりだが完食してくれる。熱もなく血圧も正常だ。数年前にこの人によく似た症状の人がいて、その時は倒れたりしたので病院で診てもらったりしたが、何も治療はなく、経過を見るだけということだった。多分1ヶ月健診の頃は元気になっていたと思う。お産にかかわるホルモンの変化ってすごい。そして自分自身が何者かに振り回されている状態に平常心を失いそうになる。そのほかにも「塞ぎ込んだり」「涙が出たり」、眠いのに眠れない、フラフラする等の症状が出る人もいる。でも、そのホルモンの働きのおかげで、おっぱいは分泌され、子宮はもとに戻っていく。つわりもそうだが、人によって強い症状の人もいれば、何事もなく過ぎていく人もいる。その人その人に合わせた対応が大事と思う。8月のお産はあと1人。7月の後半に8月初め予定だった人が生まれているので、結果、今月は7人(あと1人生まれるか生まれないか)で終わりそうだ。 (齋藤弓子)

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